「さぁ、どうぞ」


可愛らしい湯呑みに
香りの良い緑茶が注がれる


「美人を泣かせて・・・
バチが当たりそうじゃの」


ホホと笑う庸一郎さんの瞳が穏やかで

宙とよく似ている・・・そう思った
庸一郎さんに感じていた懐かしさは

宙とよく似た優しい瞳だったのかもしれない


湯呑みに口をつけると
しゃくり上げる呼吸が
ゆっくりと凪いでくる


「そういえば」とビロードの箱を取って

「開けてごらん」
手に持たせてくれた庸一郎さん


普通より少し大きめのそれを
ゆっくり開くと


「ワァ」


中には木できたストラップが入っていた

コロンと丸い立体のハートは
木目が中心にあって
なんとも可愛らしい


「ありがとうございます」


「どういたしまして」


庸一郎さんからのプレゼントは
これで四個目

毎年のサプライズプロポーズに合わせて
庸一郎さんが木で作ってくれる一点物


早速付けようと
バッグから携帯を取り出すと


「それは・・・」


携帯カバーを見て庸一郎さんが笑った


「あ、これ・・・
宙から貰ったんです」


「そうか、やっぱり恋ちゃんのだったのか」


「ん?」


「パーティーの夜に遅くまで
コトコトやってたから
余程急ぎで仕上げたいんじゃと
思ってたよ」


「そうだったんですね」


私の部屋から追い出した後のことだ

・・・てことは
宙は庸一郎さんと一緒に住んでいるのだろうか?
ふと顔を上げると

私の想いが通じたのか

「宙か?宙は一緒に住んどる
今は材料の仕入れに出かけとるから
心配せんでもしばらくは帰って来んよ」


お茶目に片目を閉じた