ーーー週明け


全体朝礼が終わると



「風見さんちょっと良いかな?」



社長に呼ばれた


「はい」


何事かと少しザワつくWEB担当の島から抜け出すと

社長の背中を追いかけた


何かした・・・かな
した・・・よね

頭を回る色々はパーティーのことで

心当たりがあり過ぎて

段々と下がる気分を

時折軽く振り返る社長の顔が
笑顔なことで奈落まで落とさないまま

社長室へと足を踏み入れた


促されるまま来客用のソファに腰掛けると
正面の社長がフッと笑った


「そう緊張しないでください
取って食べたりしませんよ」


いつもの柔らかな声に
力の入っていた肩が下がった

社長はいつもこんな感じで
丁寧な口調と優しい眼差しをくれる

社員全員それが一番素敵と感じていて
同じようになりたいと思っている

素敵な社長の素敵な会社
そこに勤められる幸せ・・・

大袈裟なことを考えたところで


「パーティーの後で木村さんから
お詫びの言葉を貰ってね」


社長は少し眉尻を下げた


「え?」


「風見さん、具合が悪くなって
先に抜けたんだよね?」


「あ、はい」


「自分の所為だと気にしておられて」


「そんな・・・」


宙の登場に驚いて逃げ出したのは
庸一郎さんの所為じゃない


「で、ここからは僕からの提案
今日、特に急ぎがなければ
木村工房へ行って来たらどうかな?」


「良いんですか?」


「風見さんの元気な顔を見せてあげて欲しいんだ
少なくとも、パーティーの時のことを
気に病んでる様子だったからね
それに・・・
木村さんはカリーナにとっても
大切な作家さんだからね」


「はい、ではお言葉に甘えて
工房へ行ってきます」


「うん、そうして
今日はそのまま直帰で良いから」


「はい、ありがとうございます」



丁寧にお辞儀をして社長室を後にすると

開放廊下に背中を預けて待つ麻人が目に入った