・・・11月某日
慰労パーティーという名目の忘年会は
社長の話でスタートした
「「「かんぱ〜い」」」
始めは所属課の小さなグループで乾杯を済ませる
その後はフリーとなるのがこのパーティーの特色で
普段顔を合わせることのないショップの人達と交流出来るのが楽しみだったりする
「せんぱーい、凄く素敵」
フリーになったはずなのにピッタリと張り付く絢音
「ありがと」
絢音とデパートに行った日
一目惚れして衝動的に買ったのはAラインのドレスだった
シフォン生地のアコーディオンプリーツは深いブルーでシンプルだけれど
胸元のスパンコールとビジューが目を引く華やかなデザイン
共布に同じキラキラを配置したパーティーバッグとピンヒールがセットの一押し商品だった
このドレスに似合うように
絢音の美容師の友達がヘアメイクを施してくれて
更にはアクセサリーも貸し出してくれた
「せんぱい、サイコーに綺麗です」
流石に褒められ過ぎてくすぐったい
広い会場を何周したか少し脚を休ませようとしたタイミングで
「恋ちゃん」
一年振りの低い声がかかった



