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麻人と別れた日
一人ベランダで飲んだくれた私は
翌朝怒りモードでやって来た小波に
「ベランダで騒ぐんじゃないわよっ」
盛大に叱られた
どうやら酔った勢いでベランダから
“バカヤロー”と叫んだらしい
「お人好しでバカなんだから」
二日酔いで痛む頭を押さえながら
麻人とのことを報告すると散々バカだと詰られた
「ちゃんと別れられて良かったじゃん」
あやふやなまま終わった８年前
“別れたつもり”の宙ぶらりんは
ずっとそれを引き摺る原因にもなった
だから・・・
小波の言う“ちゃんと”は
向き合うことを恐れるなっていう
戒めを含んでいると思う
「次に進めるよ」
頭痛で動けない私のかわりに
濃い目のコーヒーを入れてくれた小波は
「じゃあ、私デートだから」
部屋着のままでヒラヒラと手を振って帰っていった
「次に進める・・・か」
全く想像もつかないけれど
８年前よりは
相手を思いやる気持ちも
許そうと思える心のゆとりも出来たと思う
昨日別れたにしては
スッキリした気分
「さぁ、寝るか」
なんの予定もない週末を
引きこもってやると意気込んで
ベッドに潜り込んだ
