パスタとピザとサラダ
フライドチキンとマッシュポテト

恐ろしく高カロリーなそれらが並ぶテーブル
大量に冷蔵庫でスタンバるアルコール類


間違いなく引きこもる予定だった私の夜は



「せんぱーい、今夜は飲みましょう」



明るい絢音の声に消えた



缶ビールのプルタブを三人揃って一気に引くと
何故か拍手をした絢音を鼻で笑った


「飲んで、吐き出しな」


隣に座る小波は


「溜め込んでも解決しないからね」


そう言うと缶ビールを一気に空けた


「・・・うん」


頭の中を占めるのは麻人とのこと


「村越がやらかしましたか?」


ピザを頬張りながら直球を投げてくる絢音にも


誤魔化しは通用しそうにないから
正直に話そうと心を決めた



「・・・・・・別れた」



「「え」」



“別れた”と言った途端
同じ鳩豆の顔がこちらを向いた


「だから、麻人と別れた」


「なんでよ」


理由なんて言いたくない


でも・・・


「聞くまで帰らないからね」


許しては貰えそうもないみたい


「他に女がいた」



「「え」」



「だって、せんぱいっ
村越・・・そんな」



絢音は言いながら自分でパニックに陥っている


「それは、なんで?」


私から一瞬も目を離さない小波に


自販機コーナーでのことを
出来るだけ詳細に伝えた


「せんぱーい」


いつものように甘い声で私を呼ぶ絢音の声は

いつもと違って震えていた