シルバーアクセサリーの入荷日が正式に発表された翌日
出社早々WEB担当はパニックに陥っていた
それは・・・
入荷が決まった4品目を[抽選販売]にしたことだった
そもそも数量の少ない商品をなるべく満遍なく手に取って欲しいとの社長の想いから提案が上がったもので
[お一人様一点限り]と銘打たれた
その抽選販売用に開設したメールアドレスは恐ろしい数のメールを受信し続けている
「せんぱーい」
向かいの席から泣きを入れてくる絢音を宥めながら
応募締め切りの三日間が終了した後の作業を思い浮かべて
不謹慎にも少し笑えてしまった
当選者へ送る通知メールより
落選者へ送る落選メールに一体何時間を要するのか?
いや・・・もしかしたら
一日では終わらないかもしれない
「・・・・・・・・・ハァ」
肩こり決定だな〜なんて頭の片隅に置きながら
とりあえずだけど自分の申し込みはやめておこうと決めた
気の重い一週間を思い浮かべてみたところで
「せんぱーい」
さっきとは打って変わってキラキラした瞳を向けてくる絢音
「ん?」
最早、絢音の頭の中を推測する余力を使いたくない
「来月のパーティー用のドレスって
今年はどうするんですかぁ?」
「は?」
イキナリ飛んだ絢音の頭に
一瞬[パーティー?]とフリーズした自分が恨めしい
「木村庸一郎さんの為のドレス〜!」