「せんぱーいっっ」


お昼休憩を利用して駅前広場のフードワゴンが並ぶ一画に出かけた私と小波の元へ絢音が走ってやって来た


「どうしたの?」


オデコ全開で息が上がった絢音は
空いてる席に座ると


「先輩!例のアクセ入るらしいですよっ」


興奮気味で話し始めた


「うそっ!ヤッタ!」


「え?何?何のアクセよ」


全く分かってない小波に説明を入れながら

絢音の口から出てくる
次回入荷の商品リストを聞いていた


「ピアスとイアリングでしょ〜
それからストラップ!」


「種類は少ないけど何も無しよりマシね」


「せんぱいっ!そんな冷たい言い方」


ビシッと美少女戦士のキメポーズを私に向けながら


「それと〜ナイショですけど〜」


得意顔を見せながらクスクス笑う絢音


「内緒なのに言うのね」


若干呆れ顔の小波も絢音から視線を外せない


「小波さんっ!女子に内緒は
ないんですぅ〜」


ペロっと舌を出しながら


「次の商品が入るまでの繋ぎとして
非売品の“何か”が飾られる
って聞きましたよ」


「“何か”って?」


「そこまでは教えてくれなかった
営業ってケチですよね〜」


「肝心なとこ聞いてきなさいよっ」


結局期待を持たされただけなのを
強い言い方で切った小波


「小波さん怖〜い」


すり寄ってきた絢音の頭を撫でながら


「走ってきたお礼にお昼ご馳走するわ」


「え?せんぱーい!もぉ大好き〜」


途端に抱きついてきた絢音に
財布を渡すとお目当てのワゴンへと
走って行った


「あの子相変わらず“恋ラブ”ね」


クスクス笑った小波は


「可愛い後輩じゃん」


つられて笑った私を


「あたしあんな語尾の長い女は 
後輩に要らないわ」


やっぱりバッサリ切り落とした