「せんぱ〜い、
今日下に寄って帰りましょ」


今日も相変わらず可愛い絢音に
レガーメの最上階にあるイタリアンでのランチ中に誘われたのは

カリーナの月替りのコーナー

社員だとしても先取りは許されないから
キチンと並んで購入するけれど

もちろん一日が休日に当たるとは限らない



「あ、そっか一日ね、いいよ」



今日新たに入れ替わっているはず


「終わりまでに残ってるかなぁ」


絢音が言うのはあのシルバーアクセサリーのことだろう


「初日だもん大丈夫よ」


「楽しみ〜」



そんなお気楽な私達の予想を裏切って



[完売・・・次回入荷未定]



シルバーアクセサリーの売り場には
お詫びのPOPスタンドだけが寂しそうに立っていた


「「嘘っ」」


来月のコーナーをWEBで紹介したのは一週間前


「すごいね」


たった一週間の宣伝で初日完売させてしまうなんて
この店がオープンしてからは初だと思う


「やっぱり買い占めとけば
良かったぁぁぁぁぁぁ」


悔しそうな絢音を尻目に

久しぶりにカリーナの店内を見て回ることにした


店内は秋から冬にかけての色合いに変化していて

ラッピングもクリスマスを捉えた展開で赤が目に飛び込んでくるよう

輸入品のカード達も鮮やかで
やっぱりこの店が好きだと心が躍る


「恋さん」


ディスプレイに気を取られている私に声を掛けたのは麻人だった


「お疲れ」


「今日は?」


まだ仕事中の麻人はショップに立ち寄った私を見かけたと言う


「絢音が月替り見ようって」


「あ〜、完売してましたね」


何も言ってないのにお目当てがわかったのは

WEBでの紹介を“イチ押し”にしてしまったからだろう


「あれ、狙ってたのに」


「どれですか?」


「あ〜、色々?」


「クク」


麻人が笑う気持ちはわかる
答えたけれど答えにはなっていない

年下彼氏を馬鹿にしてる訳じゃなくて

欲しい物を言ってしまえば
それを買ってきそうな麻人へ
態と予防線を張る

付き合いを承諾したけれど

どこか距離のある私達

それを笑ってくれる麻人は
やっぱり優しくて器の大きな男性だと思う