五時間目の真っ最中。

ブーブー

いきなり私のケータイに着信の振動が。

こんな時間に連絡なんてきたことなかったからこれはきっとあれに違いない。

私はそっとバレないようにケータイを見る…けどそこには


「えっ…………………」


言葉を失うくらいの衝撃。


「斎……藤……………。」


『ひなちゃん!こんな時間にごめんね!さっきまで弘大手術の真っ最中で』

『いきなり中が騒がしくなったから心配で心配で先生が出てきたから聞いたら』


私は後悔する。

今この時に斎藤のそばいいてあげられなかったこと

こんなとこにいて本なんか呑気に読んでること。


『心肺停止状態だって』


私はこの時に目を疑ったけど間違いなくそこには書いてある。

けど涙が邪魔してよく見えない。


「ひな………早く行ってきて」


後ろからゆきも勘づいて見ていたらしい。

けど今ここで抜け出せるわけがない

けどやるしかない


「うん…ありがとう行ってくる。」


私は意を決して勢いよく立ち上がりダッシュで教室を出る


「ちょちょっと!木下さん!?」

「せんせーい、ひなおなか痛くて我慢できなくてダッシュで保健室向かってますのでー」

「そう…なのね」

「なのでひなは構わず、授業続けてください!あとでひなの様子見に行ってくるので」





脇腹が痛い…。

けど走るしかない……

だって。

だって。

だって、大切な人が苦しんでるから。

大切な人が危ないから。

なんとか助けてあげたいから。


私は中に入ってダッシュで階段を駆け上がる。

「ここかっ……。」

「ひなちゃんっ……学校はどうしたの?!」


そこには目を真っ赤にして座りこみながら泣いていた斎藤のお母さんの姿があった


「それ……よりっ………弘大くんっ……はっ?」

「さっきなんとか心肺が戻ったらしくて…けど意識はまだ失ったままらしいのよ…」

「そうで…すか。」


私は不安と安心が混ざり合い涙がでてくる。

ほんとに良かった。

心肺取り戻してくれただけでも今は良い…。