あれから1ヶ月後


「斎藤…ちょっと来て」

「…。」


斎藤はまだ変わらず女子と直接話すのは苦手みたい。

だけど私にはちょっとだけ話してくれる。

ときどき。

あの事を。


「屋上…?」

「ねぇ、上見て。」


斎藤は素直に上を向く。

けど無表情。


「曇ってさ、ときどきいっぱいあるじゃん。」

「…うん。」

「あの雲の上ってなにがいるか知ってる?」

「…ううん。」


いつもいつも素っ気ない返事をする君がやっぱり好き。


「っ、、あの雲の上はね今まで亡くなった人がいるところなんだって」

「そう……なの?」

「ままからそう聞いたんだ。」

「そうなんだ」

「だからもし斎藤があの雲の上に行ったとしても
 この世界に存在してないとしても、私の中では存在してる。」

「…うん」

「だから、もうあの雲の上に行っても私たち友達…だよ?」

「うん…そう、だね。」


でももしあれが成功したなら。

君が私を好きになってくれたら。

友達じゃなくて彼女でいられるかな?

私はこのとき今すぐにでも抱きしめたかったよ。

お願いだから。

消えないで。