君からの手紙を、僕は読みたくなかった。

「何があったか聞かせてくれない?」


今はきっと、聞くことしかできないけれど。


「学校でいいふらしたりしない?」


「僕は桜夜ちゃん以外に話す人いないよ」


ははは、と乾いた笑い声が聞こえる。


無理をしないで欲しいと、心の底から思う。


「いつも笑ってる桜夜ちゃんが泣いてるんだ。ほんとに、辛いんでしょ」


「うん。辛くて、苦しくて、胸が押し潰されそうなんだ」


耳を澄ましていないと聞こえない、そんな声だった。


電話越しだから表情はわからないけれど。


きっと、絶対、涙が止まっていない。


こんな桜夜ちゃんを見るのは初めてだった。