君からの手紙を、僕は読みたくなかった。

家に帰って、さっきの本を取り出す。


誰かからの手紙を、まだ読んでいなかった。


恐る恐る表紙を開く。


震える手で手紙を取り出す。


どこを見ても、差出人の名前はない。


でも、知ってる字。


よく、知ってる字。


心臓がバクバク言ってる。


メモ帳に書かれた文字に目を落とす。


内容は呆気ないほど短かった。


何度読み直しても、何も変わらなかった。


びっくりした。怖かった。


これだけじゃ、何もわからない。


本と一緒にメモ帳をベッドにおいて、突っ伏した。


メモ帳が、ひらりと床に落ちる。


「こんな事っありえない。僕だって、俺だってっ....」


僕の泣き声は誰にも聞かれず、部屋に響いて消える。


悲しさで胸がいっぱいになり、僕は意識を手放した。