「あいー大丈夫?」



穂花はまだ背中をさすってくれる。



「…ありがと。多分大丈夫。」


「永瀬ー」



中野が声をかけてきた。



「酔ったって…ハア…だいじょぶだった?」



中野は走ってきたのか、息を切らせていた。



「あ、これ、たまたま持ってたから、上げる。」



そう言って渡してきたのはまだ冷たいペットボトルと箱のまんまの酔い止めだった。



『あ、』


三人が同時に私の手の中にあるペットボトルを見た。


私の手の中には、中野が渡してきたものと同じ水があった。



「あ、じゃあこれだけでも、」


「ううん。どっちももらう。ありがと。」


「え、あ、うん!お大事に!」



私は中野がくれた水で酔い止めを飲んだ。


薬と水には、どちらにもシールが貼ってあった。


おそらくそこの店で買ってきたんだろう。


ずっと寄り添ってくれる穂花と言い、駆けつけてくれる中野と言い、人の優しさが身に染みる。


そのおかげか、私は無事に回復し、京都に辿り着いた。