中野、川田、明智、西山の四人組だった。



「いいよー」


「てかさーどこ回りたい?俺らとりあえず清水寺行こーつってて」


「あーそれウチも行きたかったんだー」


「じゃ行こいこ!で次はー…



いつの間にか司会進行役を務める中野。


女子のキャピキャピした感じは得意じゃないし、男子はもっと嫌いだけど、中野は嫌いにならなかった。


中野は一年の頃から、女だからって給食の時机と机の間に隙間を作ったりしなかったし、


中野は女が本気でサッカーをしてても笑わない。


男子が女子に引く境界線みたいなのを、中野からはあんまり感じなかった。


もし性別が選べなくても、とりあえず中野の近くに生まれよう。



「…せ」


「なーがーせー」


「え、あ、え?」


「永瀬はどこ行きたい?♡
ってめっちゃ優しく聞いてやってんのに全然答えねーんだもん。」


「あーごめん中野の近くに生まれようと思って」


「は?」


「こっちの話。」


「で、どこ行きたいの?」


「どこでもいいよ。」


「なんだよー」