「そっか」
「何真面目に聞いちゃってんだよwこんな話w」
「うん」
「じゃあ、お前のそのバカ真面目な分、話聞いてやるよ。真面目になw」
春太なら、そう思った。ま、いっか、と思った。
「………ねぇ春太、春太は、もし、男に産まれるか女に産まれるか選べたら、どっちを選ぶ?」
「んーどっちでもいーよ。俺どーせまたニートするし、ゲームの中は女男関係ないし。」
ちょっと予想外だった。春太のことだから「またイケメンに産まれるー!」的なこと言うかと思ってた。
「………じゃあさ、男でも女でもない人がいたらどうする?やっぱ気持ち悪い?」
「……別に?」
「え?」
「ゲームの世界にはさ、男なのに女のやつとか、その逆とか、お前が言ったような男でも女でもないやつが沢山いる。
俺は別におかしいとは思わない。」
何でもかんでもゲームのことを話すとこは春太っぽい気がしたけど、
じんわりと目頭が熱くなった。
きっとこれは、春太が柄にもなく真剣に聞いてくれるから。
だから、
きっと、
珍しいなって思っただけで、
ポタ
夏なのに暑苦しいなと思いながら履いてきたジーンズに垂れた雫はじわじわとまるくシミを作っていった。
ポタ
ポタ
「く…うっ……つっ……」
ダンッ
目の前に投げておかれたティッシュの箱からは、春太の優しさが滲み出していた。
「ねぇ春太、私ね、女じゃないよ。男でもないよ。お母さんから言われて髪を伸ばして、お母さんから言われて「私」って言ってる。」
春田からは何の返事も返ってこなかった。
「真剣に話聞き終わったわ。もう終わり。」
「え………」
「明日また来いよ。」
「…………うん。」


