緋色…助けて…

ここから出して!!

私が近づこうと校庭に足を踏み入れると、みるみる校庭の縁が崩れ落ち、断崖絶壁が現れ私は校庭に入ることが出来ない

それでも緋色は私に気付かずに、みんなでボールを追いかけている

私なんかに目もくれず、楽しそうに…

ダメだ…

ここで諦めたら、また私は…



私は握りこぶしを作りながら首の汗を拭い、断崖絶壁に向かって大きな一歩を踏み出した

落ちたって構わない!

一人でいるなら、緋色に近づく道を選ぶ!


大きな一歩は空を踏みしめることなく、私はそのまま下へと落下していく

緋色…

やがて周りの景色は崖ではなく、校舎に変わっていた

校庭の砂や垣根がどんどん近づいてくる

怖い!!

ぐっと歯を食いしばりながらも、頭のどこかで「先生は最後にこの景色を見ていたんだ…」と思っていた

ぶつかる!!



次の瞬間、地面を突き破り、私は緋色のベットへダイブしていた…

はぁ…はぁ…

緊張したからか、息が切れる…

呼吸を整えてから居間の扉を開けると、玄関の外から緋色の話し声が聞こえてきた