「だから、北海道へ戻って来ても逢坂さんのところへ行かなかったんだよ…
逢坂さんの子供ではないから、頼らなかった…」


緋色の目にうっすら涙が出たような気がした


「私の予想だけど…」



もしお母さんが私に考えるよう、ヒントをくれたのだとしたら…

あの話がヒントだったのなら…

間違いない

だって私は緋色を愛しているんだもん

同じ立場なら、その結論しか出せない…



これでいいのか、わからないけど



「ごめん、ただの想像だけど…」

「いや、いい…」

緋色が優しく微笑んだ



「蒼湖…」

「ん?」




「ありがとう…」



「…うん!」



私は緋色の隣まで早足で歩き、並んで手を繋いだ

緋色がしっかり手を握る

私も強く握り返した





私が愛した人はこの世で一人…


「この人の子供が欲しい」と思えるのも、緋色だけ…

大人になった今だからわかる


きっと、お母さんも…






本当の事は、きっとお母さんにしか解らない



私はその後、思い出した夢を緋色に話した