「…わかってるよ。お前は何も心配しなくていい」

親父は微笑みながら静かに口を閉ざした



俺の親父は、俺が受験前に長年伝統的にやっていた悪事が発覚し、警察に捕まった

誰がチクったのかはわからないけど、俺は、本当は親父本人なんじゃないかと思ってる

俺が養子にならず、親父とは別の苗字を名乗っていたおかげか、親父がしてくれた俺名義のものが全て取られずに済んだけど、全てを失ったババアどもはあっさり離婚していなくなった。

あれだけ、甘い汁を吸って生きて来たのに…

だから俺は、親父の金には手を付けず今は碧依とバイトをして生活している




「鈴は元気か?」

「ああ、碧依が料理習いに行くようになってから、すっかり立ち直ったよ…
おっちゃん、長かったからな…」

「お前にいい事を教えてやる」

「何だよ」

「鈴と鈴の旦那をくっつけたのは俺だ!」

「マジかよ!?」



俺と親父は、透明な壁越しになって、やっと普通の会話をするようになった