緊張で消え入りそうな声ながらも、今はハルくんと…片想いしているハルくんと、話せている。
すると急に、彼の友達である祐也(ゆうや)くんが入ってくる。


「そういや、2人とも奥寺だよなー?」

「ああ…」


何となく嫌な予感がした。ニヤニヤしてる所から想像できる。


「お前ら、結婚しても苗字変わらねーよなぁ!」


はぁ…やっぱり。


「お前ら付き合わねーのー?」

「えっ…?」


ハルくんが戸惑ってる。そりゃそうだよ。
私なんかと付き合うなんて、迷惑に決まってる。


「どうなんですか、奥寺未雪さんっ!」


私は、好奇の目で見てくる祐也くんから目を逸らす。
付き合えたら、そりゃ嬉しいけど…。
優しいから構ってくれるだけで、ハルくんが私に恋愛感情なんて、あるわけないじゃん…。


「さあっ、奥寺春也さんは、どうなんですかっ!」

「いや、あの……」


聞きたくない。付き合うも付き合わないも。付き合わないって言われたら普通に嫌だけど、もし付き合うって言われたとしても、嘘だと痛いほど分かるから…。
傷付いてまで聞きたくない。


「未雪が嫌がってんだろ?やめてやれよ」


ハルくんはそう言って、祐也くんを制した。


「…んだよ、つまんねーのっ」


そう言って彼は違う男子の所に行った。
ひとまず解決。…なのかな?


「ごめんな、未雪。変なのに巻き込んじゃって」


私は首を横に振る。


「助けてくれたから、大丈夫」

「そう?」


ハルくんは微笑んできた。


ふと思ってしまった。

その笑顔を、私が独り占めできませんか…?