黙って佇んでいると、ハルくんに箒を差し出される。
また、あの眩しい笑顔で。
扉と窓を開けて換気しながら、まずは箒で掃き始める。
「何で最近、俺のこと避けてるの?」
最近というか…昨日の昼休みからなんだけど。
まさか、あの会話を聞いてて片想い諦めることにしたんだよ、なんて言えるわけもなくて。
「最初から、こう…」
「そんなことなかったよ?確かに未雪は静かな子だけど、今は明らかに冷たい」
無駄に鋭い…。
「さっさと終わらせて、帰ろ?」
「未雪」
早く帰りたげな私が、どうしても許せないんだろう。いつもは見せないような、ムッとしたような表情を見せた。
「俺、直すよ。このまま未雪が冷たいの…嫌だから」
「直す…?」
「俺の言動か何かで、嫌だなぁって思ったことがあったんじゃないの?」
「ハルくんに直せるもんじゃない!」
好きな人、なんて…変えようと思って変えられないんだから。直すも何も無いのに…。