その日の放課後。私を含めて男女それぞれ3人の、6人が掃除当番で残っていた。隣の席であるハルくんとは同じ班で、否が応でも一緒に残らざるを得ない。
「1班の皆、ちょっといい?」
溝口先生が声をかけてきた。
「誰か2人、第2音楽室の掃除をお願いしたいんだけど…」
ああ、合唱コンクールの練習とかで使う、ピアノが置いてある教室のことかな。普通こういうのは、仲良し2人が行くものだから、私以外の女子2人が行くんだろうな。…そう思っていたのに。
「奥寺さんと春也、仲良いから2人行けば良いと思う!」
女子の1人が、特に悪気も無い様子で言ってきた。
「うんうん!良いと思う!」
「行ってらー」
もう1人の女子が同意したと思えば、男子の1人まで乗っかってきた。男子2人に関しては、単に第2音楽室の掃除が嫌なだけのようだけど。
「えっ…」
だけど、ハッキリ断ることもできない私。
戸惑っていると、大人しく見つめてきたハルくんに手首を掴まれて引かれる。
「へっ…?」
「行くよ!」
「ええぇぇ…?」
歩き出すハルくんに抗えず、第2音楽室まで来てしまった。