「ねえ、本当に大丈夫?無理してない?」


体調じゃないんだよ…。


「心配だから送るよ?」


どうしてそんな優しくしてくれるの?
一緒に過ごしてしまったら、もっと好きになってしまう。絶対勝ち目無いのに。
だから、一緒にいるわけにはいかない。


「な?一緒に帰ろ?」


私は、やっとの思いでふるふると首を横に振った。
一緒に帰りたい、でも帰るわけにはいかない…そんな複雑な気持ちのせいで、不自然に引き攣った表情を浮かべてしまってると思う。
俯いたままでも、気付かれてしまうかもしれない。だけど、どんな顔でいれば良いのか分からなかった。


「未雪…?」


ほとんど、泣きそうな顔をしてるのを自覚する。
困らせてるなぁ…。
本当は、一緒に帰りたい気持ちでいっぱいなのに…素直になれない。

そこに、トイレから智子が戻ってくるのを、聞こえた足音で感じる。