「何かあったらいつでも言えよ。分かってるな?」
『いつでもなんて無理ですよ。』
「そやったら連絡してこい。」
その辺にあった紙に連絡先を書いて渡す。
教師として1人の生徒にここまですることが間違っているとは分かっている。
でも、このまま放ってはおけない。
『本当に連絡してもいいんですか?』
「当たり前や。」
『でも迷惑なんじゃ…』
「そんなん考えるな。迷惑やなんて思わんから。」
『でも…』
連絡先の書かれた紙切れを握りしめて呟いた言葉は、うまく聞き取ることができなかった。
何?と聞いて、少し身体をかがめる。
『好きになっちゃいます。』
「え…?」
今度ははっきり聞き取れたはずなのに、すぐにはその意味が分からなかった。
『そんなことしたら…菊池先生のこと好きになっちゃいます。』
好きになる?
誰が?誰を?
思いもよらなかった言葉に混乱しているのは俺だけで、須崎は落ち着きはらった表情で俺を見ている。



