『遊びたい。』
「あぁ。」
『買い物したい。』
「うん。」
『ゆっくり寝たい。』
俺からすればあまりにもささやかだけれど、須崎にとっては大きな願いをつらつらとこぼす。
それさえ叶えてやれないことがただ苦しかった。
「なんでそんな無理すんねん。お前が倒れたら何にもならへんやろ。」
『お母さんに倒れてほしくないから。』
すっと須崎が俺の腕からすり抜ける。
涙はもう流れていなかったけれど、頬にはうっすらと跡が残っていた。
『お母さんに身体壊してほしくないんです。仕事して、家にいるときはおばあちゃんのことして。私なんかより、ずっとお母さんの方が大変だから…。』
「でもお前も大変やろ?つらいときはつらいって言え。休みたいときはちゃんと休め。」
せめて俺にだけでももっと弱音を吐けたら。
そう思ったのに、須崎は俯いて首を横に振るだけで何も言わなかった。
その頑なさが危うくて、今日のようなことがこれからも起こるのではないかと不安だけがつのる。



