俺が気にかけるのは須崎だからなのかと聞かれて、一瞬言葉に詰まった。
その後ははぐらかしたつもりだが、俺が須崎だけを気にかけているとは思われたくないし、須崎もそんなことは望んでいないだろう。
『今そこで須崎さんが寝てるの。』
「あぁ。」
うまい言い訳を思いつかず言葉に詰まっていると、里谷先生が切り出した。
「大丈夫なんですか?」
『うん。倒れたって聞いて驚いたけど、寝てただけだった。』
「そうですか。」
寝てただけだと聞いて全身から力が抜けていった。
良かったという安堵と、倒れるように寝てしまうほどに疲れていたのかという心配を同時に感じる。
『このままじゃ良くないわよね…。』
静かな保健室に里谷先生の声だけが響く。
皆がそう思っている。
須崎と関わる大人たちが皆。
だけど誰1人、須崎の状況を変えることはできない。
『菊池先生…?』
そっとカーテンの傍まで歩いた俺に里谷先生が不思議そうに聞く。
ひらひらと薄いカーテンが、とてつもなく分厚い壁のように思えた。



