悔しい。
菊池先生に対して、俺は今確かにそう感じていた。
悔しい。
俺が知らない間に菊池先生が須崎と距離を縮めていたことが。
それは同時に、俺の須崎に対する感情が1人の生徒に対するものではないのだと気付かせた。
俺は須崎が放っておけない。
絶対にひとりにしたくない。
だから菊池先生も同じなのではないかと思ってしまうんだ。
そんなわけ…ないよな。
気付いてしまった自分の想いと菊池先生への疑念を深く深く封じ込めるように、ぐっと拳を握った。
『新田先生。』
授業へ向かおうと職員室を出た俺を里谷先生が呼び止めた。
菊池先生と話してから2週間近く経つが、あれ以来ゆっくり話すことはなかった。
2人が今も一緒に弁当を食べているのかどうかも俺には分からないし、確かめに行くこともできなかった。
「どうしました?」
『須崎さんなんですけど、さっき保健室に来て。』
「え?」
ここのところ落ち着いていた須崎の名前を聞いて、鼓動が跳ねる。



