『自分は元気やって、知らせたいんやろうな。』
渉さんがスマホを出して、その画面を見せてくれる。
可愛い猫の写真だった。
『無理してるとか気遣ってるとかでもなく、あいつは元気やで。』
「そっか。良かった。」
『俺の近況にも、いつも良かったですねって言ってくれるし。』
「青波さんらしいね。」
波がすっと引いていくように、安心が広がっていく。
ずっと凝り固まっていた何かが、昨日と今日でほぐれたような気がした。
『なぁ、心詠。』
「うん?」
『幸せになろうな。』
「ふふっ。」
『ここ笑うとこか?』
笑い続ける私に、渉さんが不満気に言う。
ぶっきらぼうで不愛想、そんな渉さん評を聞いた後だからか、そんな嬉しい言葉も面白く聞こえてしまう。
「幸せになりましょう。」
『任してください。』
頭にポンと手を置いて、くしゃっと髪を撫でる手はとても優しくて。
立場も周囲の視線も何も気にせず一緒にいられる。
それだけのことが、私たちにとってはかけがえのない幸せだった。



