『心詠と会ってください。』
「…ええんか?もう会うなって言われてもおかしくないことを俺は」
『つらいんです。』
俯いたのと同時にこぼされた声に、涙が滲んでいたような気がして。
俺にとっては空白だった2年間を、新田は様々な感情を抱きながら生きてきたのだと痛感させられた。
その全ては、無責任に全てを放り出して逃げてきた俺のせいだ。
新田の言う通り全部が綺麗事で、バカだった。
『俺といれば忘れてくれると思った。忘れられなくても、諦めてくれると思った。』
「新田…。」
『でも心詠の心から菊池先生がいなくなることはなかった。ふとしたときに見せるどうしようもなく寂しそうな表情が…それを見ることが…つらいんです。』
「ほんまに悪かった…」
何をどう言えば新田の苦しみに寄り添うことができるのか。
取り返すことのできない時間と想いを、俺は新田に背負わせた。
「俺も会いたい。須崎に、もう1度会いたい。」
今の俺が見せられるせめてもの誠意は、綺麗事でも嘘でもなく、本当の言葉で話すことだけだった。



