『竹石先生もそう思ったから、俺に手紙を渡したんだと思います。』
「でも…今更俺にそんな資格なんか…」
『竹石先生は、誰よりも心詠のことを気にかけて見てきた人です。』
謹慎になったとき、本当は何があったのかと真剣に訴えかける目は切実だった。
教師として生徒を守りたいという使命感と責任感に、自分の意志の弱さを突き付けられた。
教師である自覚のなさをまっすぐに叱ったことも、俺を須崎の近くにいさせるわけにはいかないと突き放したことも、全てが紛れもない正論だった。
『だからこそ菊池先生が辞めてからの心詠の姿に動揺したんだと思います。来る日も来る日も暗い顔で、いつも誰かを求めているようでいて、ずっとひとりだった。』
「須崎が…?」
『進路希望にはどこでもいいから大阪の大学と書いて、支える柱を失ったみたいにどんどん孤独をつのらせて。』
いつも笑っていてほしかった。
穏やかに暮らしてほしかった。
自分がそんな生活からは対極の環境にしてしまったことの苦しさに、息ができない。



