『心詠はそれでもずっと菊池先生のことが好きだったんです。たぶん、今も…』
「でも、お前と付き合ってるんやろ。」
『菊池先生のことが好きでもいいって言ったんです。付き合ってるうちに忘れられるかもしれないから。』
その想いの深さに、どんどん落ちていく。
何もかもを手放して、一方的に逃げてきた自分自身の浅はかさと身勝手さに全身が締め付けられる。
『忘れてくれないまま、今に至りますけどね。』
「そんなん分からんやろ。」
『分かるんです。俺だってずっと心詠を見てきたんですよ。俺を見てくれている時間よりも長く、俺じゃない誰かを見てきた心詠を。』
まっすぐに俺を見て、何も恐れずに懐に入り込んできた須崎。
傍にいたいと、全身で伝えてきた須崎。
『今はただ俺のことを好きだと思い込んでるだけだと思います。菊池先生のことを考えないように、忘れるために。』
「悪かった…ほんまに…」
『菊池先生じゃない誰かと幸せになりたいなんて、最初から心詠は望んでないんですよ。』
沸き上がる想いを抑えられず、感情が爆発しそうだった。



