マンションに着くと、リビングの電気が灯ると同時に青波さんの胸に飛び込んだ。
『心詠?どうした?』
「ありがとう。」
『ん?』
「いろいろ考えてくれて。」
そんなこと、と言いながら私の髪を撫でる青波さんの手は優しくて、安心して一緒にいられる幸せを噛み締めていた。
「青波さん。」
『ん?』
「好きだよ。」
髪を撫でていた手がふと止まる。
そんなに変なことを言ったかなと思って腕の中で顔を上げると、まっすぐな視線にぶつかった。
『初めて言われた。』
「え?そうだっけ…?」
『あぁ、初めて言われた。』
同じ言葉を2回しみじみと繰り返した青波さんは、なぜか泣きそうな表情をしていた。
急に不安になって、とっさに腕からすり抜ける。
『心詠。』
ぎゅっと手を掴まれて、覗き込まれた瞳に吸い込まれそうだった。
『好きに、なってくれたんだな…。』
「青波さん。」
ようやく自分でも、初めて好きだと言ったことに気付いた。



