付き合うことを決めたときに言ってくれた言葉は今でも忘れられない。

嬉しくて、ずっと大事に持っている。


でも高校を卒業して少し広い世界へ出てみると、私よりも大人で綺麗な女性はあまりにも沢山いた。

私は青波さんの隣が似合う女性になれているのだろうか。



『なぁ、さっきから向こうのテーブルの人が俺のこと見てないか?』

「え?気付いてたの?」


青波さんは何も聞かずに、気分を変えるように面白そうに囁いた。

本当は私が気にしていることに気付いていたのかもしれないけれど。



『気付いちゃうんだよな~。俺って格好良いのかもな。』

「ばかじゃないの。」


ふざけたように言う青波さんに思わず笑って、変に気にしていた自分の方がばかだったと思う。



『俺は見てないぞ。』

「え?」

『心詠以外は誰も見てない。』

「ばかじゃないの。」

『え?これも?』


まっすぐな笑顔を向けられると、肩身の狭さなんてどこかへ飛んでいった。

自信が持てないだけで、青波さんはいつだって私だけを見てくれている。