「そうか。偉いな。」

『いえ、私なんて全然…』


ふと言葉が途切れたから少し待ってみたけれど、須崎がその先を話すことはなかった。



『菊池先生こそ、それだけですか?』

「そうやけど。」


そして、この部屋を出ていくこともなかった。

お湯だけ貰って出ていくだろうと思っていたけれど、須崎はそこに座ったまま俺のビッグサイズのカップ麺をおかしそうに見ている。



『栄養、偏っちゃいますよ。』

「ずっとこれやから大丈夫や。」

『よくないですよ。あ、これ食べますか?』


すっと目の前に差し出されたのは、綺麗な紙カップに入ったポテトサラダとプチトマトだった。

俺にはあまりにも不釣り合いなそれを、また不思議な気持ちで眺める。



「お前…俺のこと知らんのか?」

『何言ってるんですか?いつも菊池先生に体育習ってるじゃないですか。』


そう言って須崎はおかしそうに笑った。


なんだこいつ。

なんで俺にこんな顔見せるんだ。