『菊池先生は本当に須崎のことを想ってた。だから須崎のことを忘れたとか嫌になったわけじゃないってことは、本当だと思う。』

「はい…。」

『無理に忘れようとしなくていい。忘れる為に誰かと…なんてことは絶対にするな。』


大丈夫だと言って、諦めがついたと言って、でも本当は全然忘れられてなんかいない。

そのことを新田先生に見抜かれていた。



『自分を大事にして生きていけよ。』

「そんなお別れみたいなこと言わないでください。」

『いや、卒業なんてあっという間に来るからさ。』


卒業。

その一言が重く響く。


卒業すれば菊池先生に会いに行けると思っていた。

でもそんなこと関係なかった。

私が卒業まで待てなかったから、もう菊池先生との関係は壊れている。


卒業しても、何も変わらない。



「私、新田先生に出会えて良かったです。」

『そっちの方が別れみたいだろ。』

「だってすぐ来るって言うから。」

『卒業したら改めて言ってくれ。』


その言葉を大事に胸に抱いて、受験勉強を頑張ろうと思った。


新田先生に出会えて良かった。


もう1度、ちゃんと伝える為に。