須崎は最初こそ少し怖がっている風ではあったが、今は俺の存在など気にも留めていない様子だ。
だいたい俺と一緒に弁当を食べようと思えることが不思議だ。
あ、お湯だけ貰って出ていくつもりか。
まぁ普通に考えてそうだよな。
「昼、それだけか?」
『え?』
「足りんのか。」
そう思ったら少し気が楽になって、なんとなく会話を始めてしまう。
昼食にするには少なすぎるように思うが、小柄だからそれくらいで足りるのだろうか。
『おかずは作ってきたので大丈夫です。でもご飯が足りなくて、今日だけこれです。』
「いつも自分で作ってるんか。」
『はい。ついでなんで。』
カチャン、とお湯の沸いた音がして立ち上がる。
先に須崎のスープにお湯を入れて、自分のカップ麺をまだ開封していなかったことに気付く。
「ついでって?」
『母と弟の分を作るついでです。』
それ普通親が言うことじゃないのかと思ったが、須崎があまりにも何でもなさそうに言ったので何も言わなかった。