何度も溢れそうになった想い。

日に日に抑え込むのが困難になっていく気持ち。


もう1度、それをぐっと封じ込める。


俺は教師で、須崎は生徒だ。

今回は菊池先生が処分を受けたけれど、それを須崎が受ける可能性だってある。


絶対に、この想いを漏らしてはいけない。



『でも実際のところどうだったんだろうね。』

「2人が言った通りだったんじゃないですかね。おじいさんが亡くなって須崎は本当に落ち込んでましたし、誰かに頼りたくなったんだと思います。」

『そんな簡単に人に頼れる子じゃないと思うのよ、私は。』


俺よりも長く須崎を見守ってきた竹石先生。

その言葉には、今までとは違う色の心配が滲んでいた。



『もし菊池先生の中に生徒に対する気持ち以上の感情があったとしたら…このまま復帰させるのは少し心配だわ。』

「まさかそんなこと…」


ないとは言い切れなかった。

これは俺に言われていることでもあったから。


生徒に対する気持ち以上の感情。


菊池先生は自宅で、それをひとり抱えているのだろうか。