「おはようございます。」
『これ持ってきたんだな。』
「あぁ、はい。朝早くに持ってきましたよ。」
課題をひらひらと振りながら、片手でコーヒーを飲む。
ベテランの原先生の口癖は"これだから最近の若者は"で、その昔気質な考え方はどこか取っ付きにくいところがある。
俺も人のことは言えないけれど。
『やればできるんじゃないか。』
「真面目な生徒ですからね。」
『そうじゃなくて。やる時間あるんじゃないかってことだよ。やっぱり忘れてただけじゃないのか。』
その無神経な言葉に一瞬時が止まった。
冷静になれ、冷静でいろ、切れかけた糸に気付かないふりをして必死で言い聞かせる。
『新田先生に何か言い訳してたみたいだけど、素直に忘れてたって言えばいいものを。』
「…聞いたんですよね?須崎の家庭のこと。」
原先生に説明して納得してもらったと新田は言っていた。
須崎本人に謝ると言ってくれたとも。
だがとてもそんな態度には思えない原先生に苛立ちがつのる。
言い訳?ふざけるな。



