そろそろ里谷先生と新田が戻ってくるかもしれない。
もう少しこのままで。
須崎と2人でいたい。
今度ははっきりとそう思っていた。
『私…菊池先生に抱きしめてもらってるときだけ、安心できるんです。』
「須崎。」
『ずっと、つらくなったらいつも先生の温かさを思い出してた。』
「お前なぁ…」
何でも言えと言ったけど、そういうことは簡単に言うなよ。
そう思いながら、気付けば須崎を抱きしめていた。
『先生…』
「こんなんで良かったらいつでもしたる。」
『ずっと一緒にいてほしいよ…。』
何かの間違いだと思った。
助けてくれる大人が、救いを求められる大人があまりにも少なくて。
だから少し関わっただけの俺を頼りにするしかなくなっているだけだ。
あまり帰らないという父親の代わりくらいに思っているだけだ。
そうだ。特別な感情なんかではない。
必死にそう言い聞かせるけれど、痛いくらいにしがみついてくる須崎の切実なまでの想いが、俺の胸を深くえぐる。



