お弁当はおかずの位置がだいぶ変わってしまってはいたがなんとか無事で、そのまま相談室で食べた。

菊池先生はすぐに出て行って、新田先生が向かいに座っている。


もうすぐお昼休みは終わろうとしている。

急いで食べてしまわないといけないのに、手が進まない。



『須崎、ちゃんと食べてるのか。』


遠慮がちに聞く新田先生が心から心配してくれていることが伝わってきて、すぐには答えられなかった。

はい、と言えば嘘になってしまうから。



『少し痩せたんじゃないか。』

「大丈夫です。」

『夜は眠れてるのか。』

「大丈夫です。」


答えになっていないことは分かっている。

だけどそれ以外に返す言葉がない。


人から見れば私の環境は大変なのかもしれない。

大変か大変じゃないかの感覚さえ、今の私にはもうなくなってしまっている。


だから分からない。

何がどうなれば人に頼ってもいいのか。

誰に助けを求めればいいのか。



「ありがとうございました。」


結局半分以上お弁当を残したまま、私は逃げるように相談室を出た。