『新田先生。』


そんな俺を竹石先生が呼び止める。



『言えないだけだと思うんです。だから、お願いしますね。』

「はい。」


思いがけず深刻な竹石先生の表情に、もう1度席に戻った。

まだ聞いていない竹石先生の思いがあるような気がして。



『俺はどうかと思いますけどね。』

「え?」

『そうやって1人の生徒に肩入れするのは。あまり私生活まで深く関わらん方がええと思うんで。』


だけど菊池先生に遮られて竹石先生とはそれ以上話せなかった。

確かに俺も深くまで関わるのはどうかと思う。

でも竹石先生が言っているのはあくまでも教師としての話だ。



『須崎さんだけの話じゃないんです。困っている生徒がいれば助けてあげるのが教師の仕事じゃないですか。』

『須崎須崎って、本人が助けを求めてるわけじゃないんなら放っておけばええと思いますけどね。』

「菊池先生。」


俺のたしなめる声なんて聞こえていないかのように、菊池先生はスープまで飲み切ったカップを握りつぶして立ち上がった。