〜春〜

私の名前は 高林 沙月。中学3年生で生徒会長をしている。

生徒会長だからってしっかりしているかと言われれば
騒ぎすぎて先生に怒られたり、ネジが抜けた生徒会長なんて呼ばれることもある。

そんな私はつい先日彼氏にふられたばかり。
彼氏と言っても、4回くらい浮気してきた最低野郎、、、。

最低野郎でも、宮川 優也という男にしっかり恋をしていた私は
ふられたことに対してのショックが大きすぎて
涙が止まる日がないくらい泣いていた。

「ね〜、沙月、あんなクソ男忘れなよ、、!」

親友の 橋本 玲奈はそう言ってくれるがそう簡単には立ち直れない。

「もう無理、生きてる心地しない、、。」

なんて、愚痴って泣いていたら、生徒会の定例会の時間になった。

生徒会の定例会といっても、集まって少し話し合いをして
あとは個々の仕事を自由にやるといった
とても緩い生徒会だった。
(なんてったって生徒会長が私だもん
 しっかりとした活動なんてできるわけないじゃん!)
と生徒会の活動に対して開き直ってる自分もいた。

そんな緩い定例会が大好きだったが、今日は訳が違う。

「涼太〜〜、とうとう別れちゃった、フラれた〜」
と、生徒会の後輩に泣きついた。
柏木 涼太は生徒会の一個下の後輩で副会長の男の子。

私のことを先輩と思っていないのか生意気な態度が鼻につくが
顔はとても美形なのでついつい許してしまう自分がいる。

「やっぱり(笑)そろそろ別れるかなって思ってたよ」

「なんでそんなこと言うのさ〜、、笑うな!!」

「俺元々宮川先輩の目が怖くて好きじゃなかったし、」

「確かに、目つき悪いかも、って!思い出したらまた涙があ〜」

「ごめんごめん(笑)でもさこれで自由生活じゃん!」

確かに涼太のいうことも一理ある。

宮川と付き合ってる時の私は色々と制約されていた。
男子と話すのもダメ。メールもしてはいけない。
返信は早く返さないといけない。
とにかく大変だった。

そんなこんなで私が愚痴っていると、気づいたら
生徒会室には私と涼太しかいなくなっていた。


「みんな作業早いね〜」と私がいうと

「あなたが遅いんですよ!高林!手を動かせ!」

と何故か涼太に怒られた。ほんとこいつ舐めてる、、。

けど今の私にはとても居心地が良かった。

「そういえばこの前の卒業式、名札交換し合ってましたね」

「そうだね、一個上の生徒会長も色んな人から名札欲しがられた」

私の学校には、卒業式の日に好きな人から名札をもらう風習があった。

「高林先輩は誰かにあげたりするんですか?」

「一年後のことなんて、まだ決まってないわ!!」

「どうせ、高林先輩もらってくれる人いなそうだから
 俺がもらってあげるよ」 涼太が言った。


(、、、、、、、?今こいつなんて言った?)

急に来たタメ口と、台詞にキュンとしてしまって
まともに顔が見れないし、きっと顔も赤くなってる、、。

「なに言ってんの!早く作業にもどって!」

また2人はパソコンに向かい合った。


私は自分の楽しい青春は終わったと思ってたのに

実は私の楽しくて苦しくて辛い青春はこれからだったのだ、、。