胸がいっぱいで、額を合わせたまま俯いて涙がこぼれる。



「…でも、嫌な予知夢を自分の中に溜め込むことは、して欲しくない。それだと、レティシアが疲弊するだろう。」

その言葉に素直に頷く。


「その時は俺に全部ぶつけてくれ。レティシアにそんな予知夢を見させる俺が悪いんだ。」


そう言い切った強い眼差しは、未来の国王としての強い責任感を感じる。


「レティシアが心穏やかに過ごせるよう、平和な国を維持し続ける。そうすれば嫌な夢を見て泣くことはないだろう?」



ニヤリと意地悪に口角を上げるイオ様

「っ、もう泣いたりしませんっ!これでももう20歳ですからっ!」



「悪い悪い、怒るな。」



ハハッと笑ってまたイオ様の胸に戻される。


「泣かない、ものっ。」


さっきの涙がまた溢れ落ちるのを慌てて拭い、必死に涙を止める。




「…レティシア、本当に綺麗になったな。」


耳元でイオ様が呟くように言った。