「えっ、誰です!?」
慌ててスズが私の体を自分の方に引き寄せる。
格好は女の人だけど、声は絶対低かった。
「…恥ずかしんだけど。……俺、イオ」
帽子を少しだけ持ち上げて、私と目があう。
「イ、……何故。」
声を上げそうになった口を慌てて押さえて、立ち上がる。
「ごめん。どうしてもレティシアに会いたくて。俺のまま正面から入ったら、面倒なことになるから、こっそり来た。」
そう言うと、私たちがしゃがんでいた場所にイオ様もしゃがみこんだ。
「手伝うよ。どこから見られてるか分からないから。」
帽子の下から上目遣いで見られ、イオ様の隣をぽんぽんと叩かれる。
スズに背中を押されながら、隣にしゃがむと、思った以上に近かった。
「元気だったか?不便なことはない?」
「はい。貴重な経験をさせてもらっています。」
「勉強の方はどうだ?」
「先生が分かりやすいので、なんとかついていけてます。」
「イオ様、お嬢様は素晴らしいと先生からお褒めの言葉をいつも頂いています!」


