「スズミからの報告は?」
「今はまだ令嬢たちとの接触はないとのこと。レティシアは勉強漬けの毎日だと。」
「そうか。」
会いに行きたい気持ちを溢れさせながら、どうこっそり連れ出せるか思案する。
「俺もレティシアに会いたくなってきましたよー。」
外を見ながらジンが軽く言う。
後宮にいる間、俺以外の男には会えない。
こっそり会ったとして、それを誰かに見られた時には、俺の妃として迎えることが難しくなる。
それが分かっているため、ジンをはじめ、ローガンやサンチェからは、遠回しに早く迎えに行けと言われている。
「全く、ルシア様も酷なことさせますね。昔からレティシア以外見てないのを知っているのに。」
「やらないといけない面倒な対応が増えたよな。」
レティシア以外の令嬢を呼ぶなんて。
『女の世界も知っておいた方が、将来役立つと思ってな。…安心しろ、特にキースの御令嬢には良い縁談先を紹介するから。』
『貴方の技量にかかっているのよ?この後宮がいつまで続くかは。』
近くにレティシアがいると思うと、今すぐに逢いに行きたくなる。
…いや、行けなくもないのだが。
俺がレティシアの元を訪れたと知られた時、他の令嬢たちがレティシアに危害を加えないかが気がかりで動けずにいる。
「イオ様の初恋が無事実るよう願ってますね。」
ニヤニヤと笑ってからかうジンを咎めず、素直に受け取る。


