「あの!!」




緊張しながら待っていたら、馬車が目の前に止まり、よく見ると王族専用の馬車で、さらに緊張が増していた時、誰かに声をかけられた。




「コヴィー家のお嬢様ですよね!?」


振り向くと、使用人さんが両手を握りしめて立っていた。


「はい、コヴィーの者ですが…。」


「私、あの火事の時に、お嬢様に助けていただいた者です!」




自分の目が開いていくのが分かる。
それと同時に、無意識に彼女に駆け寄っていた。



「怪我はなかったですか?」


「はい!お嬢様のおかげですっ!本当にありがとうございました!この御恩、どう返したら良いか…。」



「そんな…、大袈裟です。」


「いいえ!お嬢様に救っていただいたこの命、最後まで大切にしていきます!そして、お嬢様がお困りの際には、なんなりと私に言ってください!ナナと申します!」




目に涙を浮かべながら、力強く言う彼女

コヴィー家の私がキース家の使用人さんに頼み事をする、なんて事、きっとないだろうけど、気持ちだけでも十分嬉しい。




「ありがとうございます。ナナさん、これから見かけた時はお話ししてくれますか。」


「っもちろんです!私でできることがあるのならば、何でも言ってください!」






友達ができたみたいで嬉しい…。



自然と2人で笑い合って、また会いましょうと、お別れをした。





それを聞いていたのか、コヴィー家の前まで送ってくれた王子が、


「また2日後会いに来る。」

と、言って帰って行った。