俺の幼なじみは昔から突拍子のないことを言う『ちょっと変わったやつ』だった。



小さい頃なんかも、よく

「私、将来は王子様になりたいの」

なんて言ってまわりを困らせていた。



そのうえ、妙に頑固で、自分で”こうしたい”って決めたら、まわりが何を言おうとも決して譲らないところがあった。




大人が

「かりんちゃんは女の子だから、お姫様の方がいいんじゃない?」

って、何度もプリンセスのドレスみたいなかわいい服を買い与えているのをみた。



だけど、正直一度だって着ているのを見たことがなかった。


いつも男の俺と同じような服ばかり着ていた。




「なりたいったら、なりたいの!」

って、王子様みたいに見える振舞い方の練習なんかもしていた。




だから、いつまでこいつはこんな感じで行くんだろう、なんてちょっとだけ興味があった時もあった。

けど、小学校に上がるころにはその目標もどこへ行ったのやら、すっかり女の子になっていた。