勇者の子は沈黙したい

「なっ…?!」

ゼインは驚きで目を見開いた。
さっきの俺が投げた石!?
何故だ?!いつ?!
こいつは俺が攻撃しようとした事、気付いていたのか!?

「こねぇの?」

立ちすくむゼインに、レオは首を傾げ問いかけた。
何だこの男、分からねぇ。
勇者の子がどんなもんだと見に来たが、ますます謎が深まるだけだった。
だけど…。
こいつはもしかしたら、相当強いのかもしれない。
あわよくば、俺を弟子にしてくれるかもしれない。

「行く、お前の家、案内してくれ!」

ゼインは内心ニヤリと笑うと、颯爽と先に進むレオの後を追いかけた。
小さな胸に、希望と期待を抱いて。




「はえ〜。それにしてもでっかい庭だな」
「だろ」

ゼインの感嘆した声に、レオは少し嬉しそうに頷いた。

「ここは俺の隠れ家だ。誰かがうちに来るのも、誰かに案内するのも初めてだ」
「街の人はみんな怖がってこないんだろ」
「そんな事はない。俺は好かれている」

おいおいそれを自分で言うのかよ、とゼインは若干引いた。

「人気者ってのは辛いんだ。俺は静かに暮らしたいだけなのに」
「まぁ、かの魔王を一度は倒した息子なんて、人気なのも当たり前だよな」
「俺は全くそういうのに興味がない」
「興味がない?」

レオの言葉に、ゼインは足を止めた。
こいつは何を言ってるんだ?

「今、魔王は復活した!お前は父の後を継ぎたいと思わないのか!?」
「後?」
「魔王の完全消滅だよ!!」

レオは首をかしげる。
その態度に、ゼインは無性に腹が立った。

「お前の父親が魔王をあと一息のところまで追い詰めたんだ!だから、息子としてその後を継いで…」
「あと一息のとこまで追い詰めたって、魔王が復活したんじゃ意味なかったってことだろ。意味がないんだよ、魔王討伐なんて」
「なにっ…!?」