心の中できっちり謝罪の言葉を浮かべ、私はそっと視線を下げた。



……いまは、分かんない。

なんで、どうして、こんなことになってるのか。



斎宮くんがなにを考えてるかなんて、私には分かんない。



だけど、今この時間だけは分かる。



斎宮くんに抱えられ、そばにいるこの時間が、とっても幸せだってこと。



心がポカポカして、心がくすぐったくて。

今にも離れたいのに、でも本当は離れたくない。



矛盾した気持ちがいくつも溢れてくるけど、やっぱりそれでも私は……っ。



ゴールまであと少し。



この奇跡みたいな時間を私は、ずっと胸に刻んでおくよ。



だから今だけは、もう少しだけ、斎宮くんの胸で甘えさせて……。



ドキンッドキンッって、斎宮くんの心臓の音が聞こえる。

こうやって身体がくっついてると、まるで私の心臓と一緒に鼓動を打ってるみたいだね?



……きっとそんなこと、斎宮くんは全く思ってないだろうけど。



私はそれがたまらなく嬉しいんだよ。