隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

私のことなんて、いっつも見てないのに。

どうしていまになって、そんな真っ直ぐに私のこと見つめるの?



……ずるいよっ。

自分の都合のいい時だけ、私のこと見るなんてさ…っ。



いつの間にか心臓は力強く音を奏でていて。

私はそれに気づかないフリをして、なにも知らない顔をする。



……じゃないと、なにかが変わってしまう気がして怖かった。

これに気づいてしまったら、ダメなんだと思っていた。



「それは……友達だから、だよ?」


「……だよね。変なこと聞いて、ごめん」



斎宮くんはどこか寂し気に、納得した声をあげると、再び視線を窓の外に移していた。



斎宮くん……?



一瞬だけ、顔が切なそうにして見えたのは、私の気のせい?



……私、今ので間違ってなかったよね。

なんにも間違ったこと言ってないよね……?



聞きたくても、それ以上、口を開くことが出来ない。



何故か、言葉にしてしまうのが怖かった。



「もうすぐ借り物競争始まるよ」


「…えっ、ほんとだ。もうそんな時間になってたんだ」



斎宮くんは、何もなかったように話す。

だから私も、斎宮くんの真似をする。



……まるで、何もなかったかのように。



「俺は気が向いたら、テントの方行くから。朝桐は早く戻りなよ」


「……分かった。じゃあ、向こうで待ってるからね!絶対くるんだよ!」



最後に「はいはい」と返事する声を聞いて、私は教室を後にした。



さっきの斎宮くん、どうしたんだろう。

いつもとなんだか様子がおかしかったような……。