隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】

ぶつかった反動で、上半身が後ろへよろける。



やっ、やばい。転ぶ……っ!



ギュッと目を瞑ると、



「ごめんごめん、大丈夫?」



優しい声色と共に、倒れそうになる私の腰に腕を回し、すかさず受け止めてくれた。



「す、すみません。そちらこそお怪我は………っ、!」



そっと目を開けたところで、言葉を詰まらせる。



だって私の目の前にあったのは……



な、なんなんですか、このハイクオリティな顔面は……!



モデル顔負けの整った顔立ちの男の子だった。



少し垂れた瞳に、筋の通った高い鼻。

太陽に反射して輝くオレンジ色の髪がよく似合っていた。



「俺は全然平気だよ」



と、白い歯と共に笑顔をみせると、私を離した。



まっ、眩しい……!

笑顔が太陽のように眩しいよ……!



まさに、正統派イケメンという言葉が頭を過った。



だけど今は、呑気にそんなことを考えている場合ではない。



「……本当にすみませんでした!じゃあ、私はこれで……」



こんなかっこいい人が、体育祭に来てたなんて……。

女の子たちが知ったら、騒ぎそうなレベルだよ。



誰かの兄弟、なのかな?



「うん、またね~」



またね……?



笑顔で手を振る男の子に、頭を下げ立ち去る。



またね、ってどういうことだろう?

ただ単に、言葉の綾……?